ブラックスワン〜黒い白鳥

投資の世界には「ブラックスワン(Black Swan)」という言葉があります。日本語に直訳すると「黒い白鳥」になりますね。この意味は、滅多には無いが(悪い意味で)奇跡的な確率で起きることの例えです。

スワンは本来、白いものしか存在しないと思われていたのが、1697年に黒いスワンが見つかったという、実際の歴史的事実を、金融市場で例えられたものです。1日で20%以上NYダウ平均株価が暴落をしたブラックマンデーや、2011年5月のP&G誤発注事件による暴落などは、ブラックスワンの典型です。

ブラックスワン=黒い白鳥と直訳するから、日本語として違和感がありますが、本来「スワン」というのは、白いという意味など無い、単なる鳥の名称です(ペンギンとかフラミンゴとかと同じ)。要は江戸時代(?)とかに、スワンという英語を日本語に訳す際に、白い鳥だという先入観から「白鳥」と名付けてしまったことが問題だったのでしょう(あるいは日本では古来より、スワンのことを白鳥と呼んでいたのか?)。

ブラックスワンと同じ意味の言葉で「ファットテール」という金融用語もあります。確率統計の概念で、正規分布の両端がありえない比率で膨らむ事のたとえです。本来、正規分布の両端は恐竜の尻尾のように先細になるはずなのに、そこが太くなる様子から、ファットテールと名付けられたそうです。

投資家としては、ブラックスワンを予測できれば幸いなのですが、残念ながら、予想外の市場の乱高下を予測するのは不可能です。